「tHeo - 樹海の羊」

 

フランスで暮らしてた頃、アイルランドへと船に乗り、旅に出かけた。いきなりお腹が痛くなり救急病院に運ばれたが、抗生物質を飲みなんとか旅を続ける。車をレンタして旅を続けてたら、海沿いの牧場にたくさんの羊がいた。ちょっと車を止めて話しかけてみたけど、私こそ迷い子...「キミ誰？」って羊が首をかしげ、彼らは向こうへいってしまった。

 

しばらくしたら、ムーミン谷みたいな丘に着いた。濃いピンクの花と黄色い花がちらほら咲いてて可愛かった。丘に描かれたような小さな小道を歩いて散歩する。少し森みたいなところもあり、妖精がいそうな気がするほどの神秘的な雰囲気...一生忘れなさそう。

それから、車に戻り走っていたら...ピュぃ！！っと、一匹の雄羊が現れた。それは羊の群れからはぐれて泥まみれになるまで草むらの中を迷ってたようだ。その雄羊の目と私の目が合った瞬間、野に立つ男性かと思うほどの錯覚に落ちた。恋をしたかのように固まってしまった。
 

そこから生まれたお話。

 

この雄羊は、前世ではアイルランドに生まれの王子...連れ去られた運命の相手を見つけるために戦い、泥だらけになりながらもひたすら森を走り続けている。